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【インタビュー】イム·サンウク CSO|SaaS企業としての組織整備・営業戦略でスケールアップを目指す

インタビュー
2024.7.22
KAFLIX CLOUD 【インタビュー】イム·サンウク CSO

株式会社KAFLIX CLOUD|CSO 林 尚郁(イム·サンウク/Blue)

韓国出身。Xenon Partners傘下のintegrate.ioBaremetricsなどの投資会社のアジア進出を陣頭指揮。2003年から2020年まで富士通株式会社に在籍し、在職中は海外部門や経営戦略室でグローバルビジネスの拡大に尽力した。2020年にXenon Partnersに参画し、日本企業と海外企業をつなぐ役割を担いながら、スタートアップへの投資や運営、コミュニティ構築を続けている。
2024年7月1日に株式会社KAFLIX CLOUDのCSO(最高戦略責任者)に就任。

イム·サンウク CSOの英語名ニックネームについて

日韓のメンバーが働くKAFLIX CLOUDでは、水平的コミュニケーションを目指した英語名ニックネーム制度を導入しています。この度就任されたイム·サンウク CSOは、「Blue(ブルー)」というニックネームになりました。このニックネームは本社代表の「Ocean(オーシャン)」とタッグを組んで、日本レンタカーERP市場という「ブルー・オーシャンを開拓する」という意味合いも込めています。

CSOになっての心構え・意気込みを教えてください。

急成長中のスタートアップの戦略(Strategy)担当役員として就任するということに責任を重さを感じながら、今までの大企業や投資ファンドでの経験をちゃんと活かせているのか、自問自答しています。

これまでは、成熟していて社内プロセスが安定している企業や投資ファンドとしてスタートアップに対して外部からのアドバイザーとしての役割で仕事をやってきましたが、スタートアップのプレーヤーの立場になったのは初めてです。プレーヤーとして、成長を支えながらも、会社がより大きくなった時のことも見据えて、将来のビジョンと共に制度やプロセスを整えることやファンド時代のグローバルSaaS企業での経営経験からマーケティングや営業戦略を先進化して行こうと思ってます。

CSO就任の話を聞いたとき、どのような思いで話を受けたのでしょうか?

もう少し話を遡ったほうがいいでしょう。最初にKAFLIXの創業者であるOceanと出会ったのは、日本法人のKAFLIX CLOUDが設立されてからすぐの2022年11月です。初めての出会いからレンタカー業界のDXへの熱いビジョンを語っていたのが、今も記憶に新しいです。一方、米国のB2B SaaS専門投資ファンドのメンバーとして、Oceanと会うたびにSaaSビジネスモデルについて議論を重ねました。それがきっかけだったと思います。就任の際にOceanからもらったお願いは「KAFLIX CLOUDのスケールアップを目前においている状況で、SaaSとしての組織や制度整備をやってほしい」ということでした。

私は、元々スタートアップ特有の無から有を創造するゼロ・トゥ・ワン(Zero to One)ではなく、できあがったものを更にスケールアップするワン・トゥ・テン(One to Ten)のプロです。まさに、Oceanが作り上げた完璧なプロダクトを世に拡げ、レンタカー業界を底上げする役割をもらったと考えました。

Blueは2003年から2020年まで富士通株式会社に所属し、在籍中には海外部門や経営戦略室などにてグローバルビジネスの拡大に携わったと聞いています。日本を代表するような大企業での経験を経て、スタートアップであるKAFLIX CLOUDにジョインするきっかけやポイントはどこだったのでしょうか。

大企業出身としてスタートアップへの投資やアドバイスする際に感じることが2つあります。
1つ目は「仕組み化」の欠如です。スタートアップの強みとしては機敏性があり、速いスピードの製品開発や市場環境の変化に合わせてカメレオンのように環境に合わせていく能力です。
しかし、その裏返しとして、マニュアル化やベストプラクティスのまとめ、制度やプロセスの標準化など、仕組みを作ることが苦手です。これが将来的には成長に合わせて大きな負担になることをたくさん見ました。成長痛とも言えるかもしれませんが、すでにそれを何十年も経験した企業から学ぶというのも大事だと思います。
2つ目は「B2B営業」の弱さです。KAFLIX CLOUDのプロダクトの性質上、大手レンタカー会社から中堅・中小のレンタカー会社まで幅広い顧客ターゲットを持つことになりますが、スタートアップということもあり営業強化よりは製品開発に偏りがちで、営業観点から、お客様の課題を見つけるセールストークから購買に至るまでの社内承認プロセスなどの理解が足りないことが多いようです。要するに、日本のSaaS業界でも一時期流行ったPLG(Product-led Growth)という理想論では、成長に限界があるということです。世界トップのSaaS企業であるセールスフォースを始め、多くのB2B SaaS企業はSLG(Sales-led Growth)、即ち営業がリードする拡販の仕組みを必須としてます。

KAFLIX CLOUDでは上記の2点から、B2B SaaS製品として営業がリードをしながら爆発的な成長と共に、数年後には日本でのIPOができる大企業の仕組みを持つ会社に成長させたいと思ってます。

我々が行っている、レンタカー事業者向けのシステム提供を行うサービスは、日々競争が激しくなっています。そんな外的環境の中、KAFLIX CLOUDにおいては事業戦略と共に商品・営業開発体制の強化はどのようにされていくのでしょうか?

競争が激しくなっていることは間違いないですが、KAFLIX CLOUDとしての強みというのは、韓国からスタートした長年にわたって培ってきたレンタカー業界の知識だと思います。他の競合他社よりもレンタカー業界の悩みを理解し、単純に予約管理・顧客管理システム(PMS:Property Management System)だけに留まらず、人手不足課題を解決するキオスク端末、グローバルでのレンタカー販売促進を担うGDS(Global Distribution System)、返却されたレンタカーの状況をAIで分析するカースキャニング技術まで、まさにレンタカー業界のDXをEnd to Endで提供しています。

そのような中で、事業戦略としては、予約管理・顧客管理システムを中心として事業効率化を支援しながら、中長期的には事業成長やイノベーションを実現していくパートナーとして位置付けます。
この事業戦略をもとに、商品・営業開発は3本柱体制になります。
まずは、お客様の事業効率化を担う予約管理・顧客管理システムやキオスクを中心としたPMS事業、グローバルのオンライン旅行代理店(OTA)や損害保険会社などのレンタカー業界のバリュー・チェーンを高度化するパートナー連携事業、最後にレンタカー業界の未来を描くコネクテッドカーやカースキャニングを提案していく未来DX事業に分けていきます。

さらに、売り方としては、大手レンタカー会社だけではなく、保有車両数50台未満の零細レンタカー会社も抵抗なく導入ができるオンライン販売体制や価格体系を用意していくことで、業界全体の底上げをして参ります。特に、インバウンド観光客向けには提案が難しかった中堅・中小レンタカー会社も簡単に海外のOTAに販売ができるようにグローバルのOTAパートナーも拡大していく計画です。

少し話は変わりますが、KAFLIX CLOUDが提供するDXソリューションについて、Blueから見て魅力的だったり将来性を感じたポイントがあれば教えてください。

そうですね。本当に魅力を感じたことは2つあります。

まずは、データです。いま現在KAFLIX CLOUDの予約管理・顧客管理システムを導入するレンタカー会社が急増していますが、その中で保有車両数50台未満のところから数万台以上の車両を保有している会社まであります。韓国本社まで含めるとすでに延べ何十万台ものレンタカーを運用しているシステムです。これは、レンタカーの現場でやってきたアナログ作業をデジタル化しただけではなく、そこから生まれたビッグデータを基盤にサービスの品質向上や機能改善にも繋がります。更に、OTAとの連動機能の中にはダイナミックプライシングなども順次公開する予定もあります。中期的には、コネクテッドカーの実証実験を通じて、レンタカー利用者に観光地やレストランなどの位置情報基盤のマーケティング機能を提供していきます。

次は、カースキャニングテクノロジーです。簡単に紹介しますと、レンタカーが配車時と返却時に車全体を撮影した画像をAIで分析して、車の凹みや傷などを人の代わりに素早く検査するテクノロジーです。難しくないように聞こえるかもしれませんが、返却される際の天気や利用中の汚れなどにより、本当の損傷と単なる汚れを見極めるためには膨大な量の画像データを学習させないといけません。実はこのテクノロジーを実現した会社はグローバルでもたった数社しか存在しません。KAFLIXはすでに実証実験を終え、済州島にあるレンタカー支店で導入しています。

まとめると、KAFLIX CLOUDは単なるレンタカー業界の業務SaaSを提供する会社ではなく、レンタカー業界のイノベーションを起こす未来モビリティ専門会社だと信じています。

こういう仲間と一緒に働きたい、一緒にこういう組織を目指したい、とイメージするものがあれば教えてください。

私は何よりも実行力を第一にしています。夢はいくら語っても実行しないと実現できません。素晴らしいビジョンや目標を掲げても絵に描いた餅になってしまうことをたくさん見てきました。また、どの組織にいっても「こうなるべき」だとか「ああなるべき」だとか理想を語るのが好きな人がいますが、そうなるように自ら実践するのは中々見たことがないですね。
私は、自分で口にしたことや会社に約束したものに関しては必ず実行して見せる仲間と一緒に働きたいです。誤解はしないでください。実行して必ず成功させるという完璧主義を求めていることではありません。実行して失敗もたくさんあるかもしれません。但し、実行しないと試行錯誤もできないまま、学びもなく、現状に留まるというかむしろ後進することもあります。実行して間違っている道なら早く気づき、軌道修正して、また前にがむしゃらに進むという組織を目指しましょう。

最後にKAFLIX CLOUDと弊社サービスに興味を持っていただいている方々に向けて一言お願いします!

IT業界で20年以上の経験の中で新しいITシステムの導入に戸惑うお客様を多く見てきました。ITのことだと漠然として難しく感じられている気持ちはよく分かります。例えば、弊社のキオスク端末も、もしかするとレンタカー利用客が使い方が分からなくて不満を持つのではないかと思い、導入を躊躇することもあります。但し、意外と我々の周りにはITの恩恵でいつの間にか生活が便利かつスムーズになっていることに気がついたことはありませんか?
弊社のカスタマーサクセスのメンバーから聞いたエピソードで、弊社のキオスク端末が導入されたレンタカー店舗で、キオスクで手続きを完了したある高齢の方が独り言で「こんな便利なことができるなんて・・・長生きして良かった。」とおっしゃっていたようです。これはサービスを提供する我々としてもやりがいのある出来事でした。
ITの導入で従業員だけでなくお客様の満足度まで上げてみてはいかがでしょうか?

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